観測 | 主な業務


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观测网

気象庁では、気象現象に関する情報提供のために構築された観測網による観測を行っている。気象観測は気象業務の根幹であり、空と大地、海洋において、様々な観測装備と職員により、大気と海洋の生体を綿密に観測し、そのデータを管理している。これらの気象観測には伝統的な装備と方法だけでなく、レーダーや衛星、気象観測船等の最先端科学技術による装備と、運営・管理用の電算システムが必須であり、このような過程を経て作成された観測データは、利用者へ迅速に伝達されると共に、全世界で共有され、気象予報のための気象現象の把握と数値予報における重要な源泉資料として活用される。また、これまでに蓄積された気象観測データは、韓国の気候がどのように変化しているかを示すものともなっている。

陸上気象の観測には、地上気象観測を行う有人気象観測所51地点を含む全544か所の自動気象観測網、15か所の高層気象観測網、10か所の気象レーダー観測網、28か所のPM10黄砂観測網が利用され、海上の気象観測には、半島の東・西・南海上に8か所の海洋気象観測ブイ、9か所の海洋気象観測灯標、6か所の波浪計と1隻の海洋気象観測船が利用されている。また、黄海の格列飛列島に西海総合気象観測基地、安眠島に気候変化監視センターを置き、地震と津波を監視する49か所の速度地震観測所並びに110台の地震加速度計を設置している。

地上気象観測

自動気象観測網により、1分ごとの気温、風向、風速、降水量等を観測している。有人気象官署では、日中には毎時間、夜間には3時間ごとに空の状態、視程(目標を識別する事の出来る最大距離)、現在の天気等を目視にて観測し、降雨又は降雪の際や、悪天候の際には昼・夜間に関わらず1時間又は30分間ごとに回数を増加して観測を行っている。地上気象観測は多くの気象要素を同時に観測する事の出来る有人自動気象観測装備(ASOS : Automated Synoptic Observing System)にて行われているが、無人自動気象観測装備(AWS:Automatic Weather System)が山岳地域や島しょ部等の地域にも設置され、気温、降水量、風向、風速と豪雨、台風等の危険気象の監視に用いられている。これらにより観測された気象データは超高速通信網によりリアルタイムで収集され、現在の天候把握と町内予報のためのデータとして活用されている。

高層気象観測

大気の状態を立体的に、より正確に理解するには、地上の気象状態のみならず、上層大気の気象状態も非常に重要となるため、気象庁ではラジオゾンデという観測装備を用いた高層気象観測を行っている。ラジオゾンデ観測は、大型の気球に取り付けたラジオゾンデで地上から約35km上空までの気圧、気温、湿度、風向、風速を観測するもので、一日2回、5か所で定期的に行われ、台風が接近している際には一日4回の観測が行われる。また、上層大気を詳細に観測するため、10か所の観測所にて垂直的に風の状態を観測するウィンドプロファイラを用いて、地上から5km上空までの風向、風速を10分おきに観測しており、この高層気象観測データは、上空の大気状態を把握するための非常に重要なデータとして活用されている。

  • 地上気象観測装備
  • 地上気象観測装備
  • ウィンドプロファイラ
  • ウィンドプロファイラ
  • ラジオゾンデ観測
    • ラジオゾンデ観測
  • 気象観測船
    • 気象観測船
  • 西海総合気象観測基地
    • 西海総合気象観測基地
  • 海洋気象観測ブイ
    • 海洋気象観測ブイ
  • レーダー式波浪計
    • レーダー式波浪計

海洋気象観測

大気と海洋間の相互作用と、海水面上・下での観測及びこれに関連する環境等を観測する。韓国は西、南、東を海に囲まれ、大気が海洋上を通過して陸上に到達するため、気象予報における海洋気象観測が特に重要となり、漁業、旅客船の運航等、国民の海洋・水産分野での活動にも多く利用されている。海洋気象観測は主にブイ、灯標、海洋気象観測船等により行われ、気象庁では現在、ブイ(8か所)、灯標(9か所)、レーダー式波浪計(6か所)、観測船(1隻)、無人基地(1か所)にて海洋気象の観測を行っている。一方、西海総合気象観測基地ではウィンドプロファイラによる観測、粒子状物質の観測、波浪観測、自動気象観測等を総合的に行うと共に、無人観測機器を韓半島周辺海域と太平洋に配置し、水中の塩分、水温を観測し、海洋気象研究に使用している。また、海洋にて観測されたデータは、衛星通信網を通じてリアルタイムで陸上へ送られ、収集されたデータは危険気象の探知、気象予報、気象特報の発表、各種気象研究に利用される。

気象レーダー観測

最先端の遠隔観測装備である気象レーダーは、発射された電磁波が大気中の水滴に衝突して戻る反射波を分析し、降水地域と降水強度を観測するもので、危険気象の早期探知が可能であり、主に豪雨、雹等の突発的な気象現象と、台風の追跡・監視、注意報、警報等の特報、及び短時間予報に使用されている。現在、全国10か所(白翎島、冠岳山、広徳山、東海[日本海]、五聖山、珍島、眠峰山、九徳山、高山、城山)にレーダーが設置されている。また、日本と中国のレーダーデータを従来の画像と合成して活用しており、国土海洋部、空軍、在韓米空軍、羅老宇宙センター等の関連機関のレーダーデータについても受信、利用している。気象レーダーで観測された画像データは10分ごとに合成処理されて、韓国全域の降水状況把握と予報に用いられると共に、ホームページや携帯電話等を通じて利用者に提供されている。

  • 気象レーダー合成画像(2007年 台風11号NARI)
  • 気象レーダー合成画像(2007年 台風11号NARI)

黄砂観測

近年の中国における産業化と合わせ、森林伐採面積の増加に伴う中国及びモンゴル地域の砂漠化が急速に進行しており、韓国に流入する黄砂の回数及び強度が増大している。これに対し、気象庁では黄砂観測のためにPM10粒子状物質観測網28か所と黄砂立体監視用レーダー観測網4か所を稼働させている。PM10観測装備は、空気中に漂う直径10㎛以下の粒子状物質濃度をリアルタイムに測定し、ライダー(LIDAR)はレーザー光線を用いて大気中の黄砂濃度の垂直分布を明らかにするものであり、東アジア地域の乾燥及び半乾燥地域から飛来する黄砂の探知を目的に、主に半島の西海岸地域に設置されている。一方、中国気象局と共同で黄砂の発生地と移動経路に韓・中共同黄砂観測網を構築し、リアルタイムの観測データを活用している。

落雷観測

落雷は、雲に蓄積された電気が瞬間的に大地へ放電される現象である。近年における野外活動人口の増加や、コンピュータ等の電子機器の使用増大に伴い、落雷による人命及び物的被害が急増している点を鑑み、落雷を感知するセンサーを全国に設置し、リアルタイムの落雷分析システムを稼働させている。システムにより分析された落雷の発生時刻、位置、強度等は落雷による災害予防に活用されており、ホームページや携帯電話を通じて利用者に提供されている。

  • 落雷観測画像(30分間隔、3時間の累積画像)
  • 落雷観測画像(30分間隔、3時間の累積画像)

気象衛星観測

科学技術の発達に伴い、気象衛星観測データの精度や信頼度が向上し、気象衛星が観測した各種データが気象予報や気象研究において非常に重要な役割を果たすようになってきた。特に、気象衛星は広範囲な領域について、視・空間的に精密な雲画像データをリアルタイムに提供するため、局地で急激に発達する小規模な気象現象から、地球全体に現れる広範囲な気象現象までをすべて探知する事が可能である。気象庁では、衛星データ受信分析システムを用い、静止軌道気象衛星と極軌道気象衛星が観測したデータを受信・処理、分析して予報業務、気象研究等に活用している。気象衛星から受信したデータは、雲の分布、雲頂温度・高度・気圧、海水面温度、大気の運動ベクター、降水強度、台風、黄砂、霧、大気の鉛直温度、湿度分布等の分析に加え、数値予報モデルの入力データとしても利用され、分析結果は全国の気象官署や利用者に提供されている。また、長期的な地球環境変化の監視のため、地球観測衛星からリアルタイムのデータを受信し、黄砂や山林火災の監視、台風分析に利用している。一方、韓国初の静止軌道衛星である通信海洋気象衛星の気象観測データを受信・処理し、世界中の利用者に提供する地上局を国家気象衛星センター(忠清北道鎮川郡)に置いている。

雲観測 霧分析黄砂分析台風分析

通信海洋気象衛星受信アンテナ
通信海洋气象卫星收信天线
東経128.2度の赤道上空36,000kmにある通信海洋気象衛星から送られる気象観測データを、平常時には 15分、危険気象時には8分ごとに受信している。
極軌道気象衛星受信アンテナ
轨道气象卫星收信天线
韓国周辺の上空を一日に2回通過する衛星を追跡するアンテナが、800~900km上空を極軌道に沿って南北に周回しながら、一日に14回、地球全体を観測するNOAA(米国海洋大気庁)衛星データを受信している。
静止軌道気象衛星受信アンテナ
静止轨道气象卫星收信天线
東経140度の赤道上空36,000kmに位置する静止軌道気象衛星MTSATから30分ごとに送られるデータを受信している。